タブレット学習 効果|紙とタブレット教材で勉強の違いは?
タブレット学習 効果を考える上で紙とデジタルでの学習の違いを紹介します。
紙とタブレット(デジタル機器)の学習効果について調査した結果によると以下の様な結果が出ていました。
2011年9月に京セラコミュニケーションシステムと共同で『紙とPCおよびiPadの特性比較について』という調査。
調査時期は少し古いですが、大きな変化はありません。
- 紙のメリット:「文章を思い出しやすい」「下線を引きやすい」「文章を読みやすい」「学習したと実感しやすい」
- デジタル機器のメリット:「形がイメージしやすい」「写真を思い出しやすい」
このことから知識を問うような言語系の問題は紙のテストが優位性がある。写真や図などの非言語系の問題はタブレット端末が優位性があるという結果になっていました。
紙での学習は手を動かしながらの学習なので脳に学習の記憶が残りやすい傾向があります。実際のテストでも正しい回答が書きやすいです。
タブレット学習は非言語の図や写真などのイメージに加えて、音、動画での学習でインプットに優れています。
例えば、月の動きや太陽の動きなどを動画で見せることで紙教材ではわからない細部の情報を手軽に学べます。英語などでは正しい発音を手軽に聴けます。
紙とタブレットでどちらが良いという物ではなく、学習効率を考える上では紙とタブレットの両方を取り入れ併用するのが望ましいと言えます。
視力への影響
紙に比べてタブレットでは、視力が悪くなるという心配もされる方もいるかと思いますが、基本的には大きな差はありません。
長時間近くのものを見続けることで目への負担はあるからです。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
関連ページ:タブレット学習 視力
タブレット学習 効果はあった!
タブレット学習の効果を研究は文部科学省でも行われています。
現在、「未来の教室」で学校教育でのICT導入を検証しています。
その中で教科指導におけるICT活用の効果としてをテスト結果で実証したところICT活用した授業を行った場合に学習効果が得られたことがわかりました。
平成18,19年度に実施された文部科学省委託事業による調査研究において,全国で実施された752件の検証授業を分析評価した結果では,ICT活用して授業を行った教員の98.0%が,「関心・意欲・態度」の観点において効果を認めていた。それ以外の観点(知識・理解,思考・判断,表現・技能・処理)や,ICT活用によって児童生徒が集中して取り組めるようになることや児童生徒が楽しく学習出来るようになること等についても,多くの教師が効果を認めていた。また,児童生徒に対する調査によれば,学習に対する積極性や意欲,学習の達成感など全ての項目について,ICTを活用した授業の場合の方が評価が高かった。さらに,児童生徒に対する客観テストの結果によれば,各教科の得点や「知識・理解」や「技能・表現」の観点で高い効果が得られた。
特に注目したいのが、「関心・意欲・態度」の観点において効果です。
子どもの勉強へのやる気部分への効果が高いことがわかります。
結果として、知識・理解や技能・表現の観点で高い効果を得られていることがわかりますね。
このことからタブレット学習での学びは効果が高いことがわかります。
小学生、中学生、高校生向けに学校教育でICTが導入されている事例を紹介します。
EdTechサービス導入事例|スタディサプリ
概要
スタディサプリの導入を通じた家庭学習習慣の形成
- 導入先の高校では当初、生徒の家庭学習時間が不足
- 課外授業の実施を試みるも、教師1人あたりの負荷が膨大になるという課題に直面
- 『スタディサプリ for Teachers』の導入を通じ、無理なく取り組める量と時間を調整し学習習慣を形成
導入内容・時期
導入年:2017年4月~
利用学年:高校1~2年生
利用生徒数:現在約230名が利用
利用環境:教員は職員室パソコンを使用、生徒は各自のスマートフォンでの利用が多い
その他:利用機能としては宿題配信機能、ポートフォリオ機能(アンケート機能)、生徒への連絡機能(メッセージ機能)、タイムラインによる生徒の学習取組状況確認など
スタディサプリ for Teachersを導入したところ、商業高校での宿題配信数・宿題回答率全国一。勉強しない生徒を変えたICT教材でした。
従来の紙ベースの宿題よりもスマホででスタディサプリの10問程度の問題を宿題形式で生徒に取り組ませています。自動丸付け機能、管理機能で、丸付け業務や宿題提出とチェックのを削減。1クラス40人の生徒の学習を管理できているそうです。
スタディサプリは小学生4年生〜、中学、高校、社会人向けに提供している動画配信サービス型の学習教材です。
スタディサプリ for Teachersは、スタディサプリ に学校向けの機能や教材を追加した学習・主体性育成・進路支援サービスを追加しており、2018年時点で2500校以上が導入しています。
学校現場で一定の効果があることがわかりますね!
「未来の教室」 実証事業 |すらら
目的
地方の公立スタンダート校で、英数校の3科目の授業に「すらら」を導入、個別最適化学習を実現することで、次の5つの実証を目指します。
1.生徒の学習生産性・学習効果向上 2.教員の指導生産性向上 3.生徒の学習意欲向上
4.生徒の自主性向上 5.学習情報の保護者・学習者・学校の三者間共有の実現
検証の成果
学習内容の理解については国語のテストスコアが平均20.9P向上、英語のテストスコアが28.5P向上。平均回答時間が56秒短く23%向上している結果です。
すららは、無学年学習方式の学習教材で、子ども一人一人にあった学習を提供する点で定評があります。
こちらも学校現場で一定の効果があることがわかりますね!
「未来の教室」実証事業|デキタス
目的
あらゆる事情により学力のサポートが必要とされる生徒に対して、「個別学習計画」を作成。その計画に沿ってICT教材「デキタス」を活用し、生徒の学習意欲や状況、学習データに応じて臨機応変に修正することで、「教室」以外の場でも本来の学習範囲の補填が可能となる「学校外教育サービス(オルタナティブ教育)」の実証を目的としています。
検証の成果
・ICTを活⽤した学習状況により、観点別評価へ反映させた。その中で評定が上がった⽣徒が実在した。
• 個別学習計画による動機づけと学習量の増加は確認できたが、まだ事例が少ない。
と一定の効果は実証できています。
実証事業は、新しい教育サービスとしての成功事例や将来の成功事例に繋がる足掛かりを創造する目的で行う実証事業なので、ある程度の結果と一定の課題があります。
この様にタブレット学習は、一定の課題がありながらも効果が得られることがわかります。
タブレット学習 効果がなかったという理由
タブレット学習で効果がなかった、やめてしまった理由を紹介します。
通信教育で提供しているタブレット学習教材の問題点・課題を確認していきましょう。
タブレット学習はメリットもある一方でデメリットもあります。詳しく紹介します。
効果がなかった理由1:タブレット学習がゲーム性が強かった
タブレット学習は様々な物がありますが、子どもに興味を持たせるためにゲーム性を強く出している教材があります。
タイプとしては、学習内容がゲーム風に仕上がっている物。ご褒美システムでゲームを提供しているものです。
勉強そのものが苦手な子からすると、勉強にゲーム性があったり、ご褒美ゲームがある方が興味を持てるので良いです。
例をあげると勉強にゲーム性を強く打ち出しているのが進研ゼミのチャレンジタッチです。
割り算の勉強ですが、ボクシングゲームをしながら学ぶ内容となっています。
一方でスマイルゼミは、勉強は勉強でしっかり行います。勉強終了後にご褒美ゲームを提供しています。
これは、ソーシャルゲームなどのゲーミフィケーションの要素を取り入れています。(他社でもよく取り入れています)
ゲーミフィケーションの3つの要素として課題、報酬、交流が挙げられます。
スマイルゼミのゲーミフィケーションの例
- 課題:きょうのミッションで設定された学習
- 報酬:きょうのミッションをクリアするとゲームが開放される
- 交流:親子のチャットアプリ
報酬が用意されているのがスマイルゼミです。学習を続けるシステムになっていますが、設定をしていないとゲームに熱中してしまいます。
また、学習専用タブレット以外の場合はYouTube、ゲームアプリで遊べてしまうため注意が必要です。
子どもにとって誘惑が多いことからタブレットでの学習から逸れてしまい、効果がなかった理由になっています。
効果がなかった理由2:タブレット学習に飽きてしまった
タブレット学習に飽きてしまったという理由もあります。
タブレット学習は最初こそ真新しい物なので勉強をしますが、刺激がなくなれば勉強をしなくなります。
- 問題が簡単すぎた/わからない
- おまけのゲームに飽きた
などの理由でタブレット教材(通信教育)を退会しているのが現状です。
紙での学習もタブレット学習も勉強を続けることで効果が得られるのです。子どもが飽きてしまっては勉強は続けられませんよね。
子どもがタブレット学習に飽きない様に通信教育会社では工夫を重ねていますが、子どもにあった教材でないと飽きてしまいます。
効果的に学習するためにもしっかり教材は比較したいところですね。
効果がなかった理由3:すぐに答えが見れてしまう
タブレット学習が効果なしと言われる理由は自動丸付け機能をつけているです。
わからない場合は「次へ進む」ボタンや適当な答えを入力すればすぐに解答と解説が出てきます。少しわからなければ解答をみるという癖ができてしまうかもしれません。
タブレット学習は選択式の問題が多いため、子どもが手を使って考えることが少ない傾向にあります。
ただ、この点に関しては学習データを取得して間違えたポイントを保護者の管理画面から確認できる、間違った問題がある場合はやり直しさせる機能があるのでそのまま放置されることはありません。
子どもの学習意欲次第ですが、理解しないで終わらせることも可能なのです。
学習プロセスとしてはインプットした内容をアウトプットして正しく理解しているかをチェックしながら進めていくのが理想です。
早く勉強を終わらせたいというような場合は、適当に答えて解答をみることができます。
こういった方法からタブレット学習の効果なしの理由と言われています。デメリットになり得ます。
効果がなかった理由4:タブレット学習のレベルが合わない
タブレット学習教材の効果なしの理由は提供している会社によってレベル(難易度)、進捗は異なり、子どもにに合わないです。
難しすぎても、簡単すぎてもやる気は落ちます。
その子にあったレベルの問題に取り組ませることが最もモチベーションを維持できるのです。
例えば、毎月のカリキュラムが組まれている物では、チャレンジタッチ 、スマイルゼミ 、Z会が挙げられます。これらは学校の進度に合わせた学習ができるタブレット教材です。
しかし、各社のレベルは全くことなります。各社のレベルを比較すると以下の様になります。
- Z会:1講座30〜40分
- スマイルゼミ:1講座15分
- チャレンジタッチ :1講座15分
難易度の高さでは、Z会がピカイチです。
ただ、難しいからといって解けない様な問題ではなく段階的に取り組めばしっかり解ける様に設計されています。
ただ、ゲーム要素は皆無なので、学校の勉強についていけており集中して取り組める子ども向けと言えます。勉強嫌いなら解けない問題も多くなるのでやる気を失ってしまいます。
逆に簡単すぎてもいけません。
チャレンジタッチは勉強嫌いの子ども向けでゲーム性が強い教材です。1講座15分で簡単に取り組めます。
1ヶ月に30〜40講座で問題数が少ないため成績が良い子で要領がよければ、数日で1ヶ月分を解いてしまう可能性もあります。
繰り返し取り組むことができますが、簡単すぎるのもタブレット学習教材の効果があると言い難いです。
よくある退会の理由です。
子どもがタブレット学習を楽しく行い効果を得られるには子どもにあった教材を選ぶことが重要なのです。
タブレット学習 効果を引き出すポイント
タブレット学習の効果を引き出すポイントを紹介します。
効果を引き出すポイントは以下の3つです。
- タブレット学習を行う目的を明確にする
- 学習専用タブレットを使う
- タブレット教材と紙を併用する
順番に解説します。
効果を引き出すポイント1:タブレット学習を行う目的を明確にする
効果を引き出す一つ目のポイントはタブレット学習を行う目的を明確にすることです。
通信教育で提供しているタブレット学習教材はそれぞれ明確な目的があるからです。
大手学習教材の目的は以下の通りです。
チャレンジタッチ | 毎日コツコツが学習し学習習慣を身に着ける(勉強が苦手な子向け) |
スマイルゼミ | 毎日コツコツが学習し学習習慣を身に着ける |
Z会 | 難問に挑戦する力を身に着ける |
デキタス | 学校の授業を理解できる様にする |
スタディサプリ | 一流講師の講義を低価格で受けれる |
すらら | 無学年学習で子どもに沿った学習を提供(戻り学習、先取り学習に対応) |
RISU算数 | 小学生算数に特化 |
例えば、タブレット学習の目的が小学生算数の苦手を解消したいなら、間違いなくRISU算数がおすすめです。先取り学習、苦手対策にも対応しており、子ども1人1人にピッタリの学習を提供しています。
勉強が苦手ならチャレンジタッチ が良いかもしれません。この様に明確な目的を持って選ぶことが学習効果を最大限引き出すポイントと言えます。
難易度も様々です。子どもにあったタブレット学習教材を選ぶことで学習に対する意識が前向きになります。
タブレット学習教材については以下の記事で比較しています。ぜひ参考にしてくださいね。
関連ページ:タブレット学習 小学生 ランキング
効果を引き出すポイント2:学習専用タブレットを使う
効果を引き出すポイントは学習専用タブレットを使うことです。
教材によって学習専用タブレットを提供しており、学習だけの設計にされているものもあります。
自宅のタブレットを使う場合は、子どもが遊びの誘惑に負けない様に学習専用タブレットにしておくことが望ましいです。
ちょっと、休憩中にYouTubeを…と見出したら集中力が下がる要因になります。
せっかくタブレット学習を行うのであれば、学習専用タブレットとして1台用意してあげましょう。ポイントは余計なアプリを削除すること、あったとしても機能制限を設けることです。
タブレット学習教材ではご褒美としてゲームを設定しているものもあります。ゲーム自体は問題ありませんが、しっかり「ゲームは10分まで」などとルールを決めて運用しましょう。
効果を引き出すポイント3:タブレット教材と紙を併用も検討する
タブレット教材はインプットに優れた教材でアウトプットでは劣る面があるため、紙の勉強も取り入れることをおすすめします。
WSJの【あなどれない「手書き」の学習効果】によると手書きによる長期記憶の効果の優位性を紹介していました。
こうした優位性は一時的だ。複数の研究によると、パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多かった。また、大量のノートを見返しても記憶を呼び戻すのにあまり有効ではなかった。それが非常に表面的だったからだ。
対照的に、手書きでノートを取った学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要をよく覚えていた。専門家らは、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘する。また、手書きのノートはよく整理されているため、復習にもより大きな効果を発揮する。
タブレットはインプット中心。そして、アウトプットは紙へ行うことで長期記憶につなげることができます。
もちろん、タブレット上に書き込む専用タブレットも登場していますが実際のテストは紙です。標準的な内容はタブレットで行い、応用問題、発展問題、確認をテキストで行うという様な方法もできます。
タブレット学習は万能ではありません。良い点を取り入れて効果を最大限引き出せる様に紙を併用しましょう。
タブレット学習 効果|教材利用がおすすめ
ポイント
- タブレット学習の効果は研究結果からある
- 通信教育は明確な目的別に分れるので子どもの特性に合わせて選ぶことが効果的
- 専用タブレットの利用、テキストとの併用と効果を引き上げるポイントがある
タブレット学習だから万能とは言えませんが、正しく付き合うことで高い学習効果は期待できます。
これからタブレットをつかった学習を始める方は第一歩として目的にあった学習教材を見つけることが大切です。
以下の記事で選び方、おすすめ教材をまとめているのでぜひ参考にしてくださいね。
関連ページ:タブレット学習 小学生 ランキング